東京烏鴉

山で啼いてた山を追出為れて
人は見る度に顔を蹙めて行くの
人に皆に廻り遭う迄は
そうよ彼の山で暮ら為て逝けたのに
皆の傍で烏乎生きると決めた
悲しくないわそう東京烏鴉
皆は何時も烏乎我が事許り
突いて喰らうそう東京烏鴉

人の合間で皆流れ逝く
私の目丈が黒く見詰めて居る
人は皆は廻り遇えば直ぐ
塵を投付けて逃げて行くのだった
皆の粗を烏乎漁る貴方は
仕合せなのかそう東京烏鴉
皆が居れば烏乎皆が居たら
泣きを見る迄そう東京烏鴉

皆が居れば烏乎皆が居たら
哭く人も居るそう東京烏鴉
皆が居れば烏乎皆が居たら
人の世は鳴くそう東京烏鴉

本歌
前川清
「東京砂漠」

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